1.『超高層のバベル 見田宗介対話集』(講談社)
対話の相手が面白い人がそろっているので、とても刺激的な本になったと思います。目次を記しておきます。
1 河合隼雄+ 超高層のバベル
2 大岡昇平+ 戦後日本をふりかえる
3 吉本隆明+ 根柢を問いつづける存在
4 石牟礼道子+ 前の世の眼。この生の海。
5 廣松渉+ 現代社会の存立構造
6 黒井千次+ 日常の中の熱狂とニヒル
7 山田太一+ 母子関係と日本社会
8 三浦展+ 若い世代の精神変容
9 藤原帰一+ 二一世紀世界の構図
10 津島佑子+ 人間はどこへゆくのか
11 加藤典洋+ 現代社会論/比較社会学を再照射する
交響空間 あとがきに 見田宗介
2.『戦後思想の到達点/柄谷行人、自身を語る/見田宗介、自身を語る』
〈戦後思想のエッセンス〉というシリーズがNHKブックスから出て、丸山真男、鶴見俊輔、吉本隆明など歴史上の人物が収録されるのですが、その「別冊 第0号」として、未だ生存中の柄谷行人氏と見田の仕事が、本人インタビューの形で出ます。柄谷氏の分と合冊ですが、見田の部分の目次を記します。
1 戦争体験の最後の世代。森羅万象の空
2 社会学というアリーナ。『価値意識の理論』
3 〈人生のひしめき〉としての社会。『まなざしの地獄』
4 「全共闘」との論争。真木悠介というペンネーム
5 『現代社会の存立構造』。マルクスをどうのりこえるか
6 『気流の鳴る音』における転回。〈外部〉への旅
7 『時間の比較社会学』。生と死のニヒリズムをどうのりこえるか
8 宮沢賢治。りんごの果汁
9 『自我の起源』。愛とエゴイズムの生命社会学
10 『現代社会の理論』。情報化と消費化の可能性と限界
11 『現代社会はどこに向かうか』。人類史的な転回
12 軸の時代Ⅰの思想/軸の時代Ⅱの思想
補 「戦後」について。「日本」について。
これまでのすべての仕事と、そのつながりをコンパクトに整理をして話をしたので、若い人には、便利かと思います。
3.この他に、今福龍太さんとの対談が、『新潮』新年号に出ます。今福さんの本『宮沢賢治 デクノボーの叡智』が出たのを祝う対談で、わたしの方は大した話をしていませんが、とても楽しい会話でした。
4.またこの他に『討議 現代社会はどこに向かうか』という本が、年末か年始位に、「岩波ブックレット」から出ます。昨年出した岩波新書の『現代社会はどこに向かうか』について、中堅、若手の社会学者がシンポジウムを開いた内容がとても充実していたということで、本になりました。わたしは録音を送ってもらって、質問に回答していますが、その回答も入っています。回答は4項目で、
1 軸の時代Ⅱの思想はどういう思想か
2 でこぼこと三寒四温と椎間軟骨
3 無差別殺人と差別殺人
4 若者の意識変化をどうとらえるか
というものです。
この10年程構想してきた理論が完成し、コンパクトな書物として刊行したので、お知らせします。
『現代社会はどこに向かうか 高原の見晴らしを切り開くこと』(岩波新書)という本です。半分位は、すでに折々に発表してきた文章や、朝カルや樹の塾で時々話をしてきたことですが、全体のつながりとして、要約しました。
以下に目次を記します。ご関心のある項目があれば、読んでみて下さい。
なおこの本についての、質問、批判、感想を毎月第1日曜日の電話による「声の樹の塾」でも、メールでも大いに歓迎します。メールはいつでも歓迎ですが、(近年視覚障害の進行のため)レスポンスは電話とします。レスポンスの必要なメールの場合は、電話番号と、ご都合のよい時間帯とを記入して下さい。当方の電話は090-5758-1939、メールアドレスはm.mita.vc@gmail.comです。
(メールで初めての方の場合、セーフガードシステムが自動的に迷惑メールとまちがえて消してしまうことがあるので、件名に『現代社会はどこに向かうか』質問、等と記すか、別途電話の方の留守電に一言「メール送ったよ!」と入れておいて下さい。)
目次
序章 現代社会はどこに向かうか 高原の見晴らしを切り開くこと
1 未来の消失? 現代の矛盾。
2 生命曲線/歴史曲線。「現代」とはどういう時代か
3 グローバル・システムの危機。あるいは球の幾何学
情報化/消費化社会の臨界
4 世界の無限/世界の有限。軸の時代Ⅰ/軸の時代Ⅱ
5 高原の見晴らしを切り開くこと
一章 脱高度成長期の精神変容 近代の矛盾の「解凍」
1 脱高度成長期の精神変容。データと方法
2 「近代家族」のシステム解体
3 経済成長課題の完了。「保守化」
4 魔術の再生。近代合理主義の外部に向かう触手たち
5 〈自由〉〈平等〉対〈合理性〉。合理化圧力の解除、あるいは減圧
6 近代の理念と原則の矛盾。封印と「解凍」。高原展望
補1 合理性、非合理性、メタ合理性
補2 生活スタイル、ファッション、消費行動
「選ばれた者」から「選ぶ者」へ
二章 ヨーロッパとアメリカの青年の変化
1 ヨーロッパ価値観調査/世界価値観調査。データと方法
2 幸福の高原と波乱
3 「脱物質主義」
4 共存の地平の模索
5 共存の環としての仕事
補 〈単純な至福〉
三章 ダニエルの問いの円環 歴史の二つの曲り角
四章 生きるリアリティの解体と再生
五章 ロジスティック曲線について
1 グローバリゼーションという前提
2 一個体当たり資源消費量、環境破壊量の増大による加速化
3 テクノロジーによる環境容量の変更。弾力性。「リスク社会」化。不可能性と不必要性
六章 高原の見晴らしを切り開くこと
1 総理の不幸
2 フリュギアの王
3 三千年の夢と朝の光景
補 欲望の相乗性
補章 世界を変える二つの方法
1 ベルリンの壁。自由と魅力性による勝利。
2 二〇世紀型革命の破綻から何を学ぶか。卵を内側から破る。
3 胚芽をつくる。肯定する革命 positive radicalism。
4 連鎖反応という力。一華開いて世界起こる。
(6.9追加)
出版社より、「電子書籍版」の新刊案内用に、「インターネットによる若い人たち向けの内容案内」を頼まれました。下記のメモを送りました。出版社の方でこの前か後に少し書き加えるかと思いますが、材料としてわたしが送ったメモだけをコピーします。
この本の内容の大きいポイントのいくつかを記しておくと、次のようなことです。
・人間の歴史は今、第二の巨大な曲がり角、=三千年来の〈転回点〉に立っている。
・「近代社会」は、矛盾の産物であり、すでに音を立てての崩壊を開始している。
・青年たち、少女たちのリストカットも無差別殺人も、近代社会の崩壊の局面の一時的な現象である。
・原発等々、現代社会の「リスク社会」化という恐怖は、「経済成長」という強迫観念から覚めることによって脱却できる。
・新しい世代の価値と人生スタイルは、〈シンプル化、素朴化、ナチュラル化〉という方向に向かう。
・経済成長の終了の後に、無数の〈永続する幸福の世界〉が一斉に開花する。
「まさか!」と思う諸君も多いと思うが、そこは本書のデータと分析を読んで下さい。
1. 近年進行した視神経の磨滅(緑内障)が最終段階(失明)に近づいたので、樹の塾をしばらく休塾とします。
iPS細胞による視神経の再生技術は、近年急速に可能性を開きつつあるようですが、専門家の話では「あと5年はかかる」ということなので、例によってよい方に解釈をして、「5年+α」が、休塾期間の見通しです。(眼以外の部分はすべて健康です)
休塾期間中のコンタクトについては、次の2. 3. 4. の3項目を参照してください。
この「樹の塾掲示板」は、毎年2月に更新します。何かお知らせがあるかもしれないので、もし関心を持続される方は、2月ごろに、ちょっとチェックしてみてください。
休塾期間中、毎月第1日曜日の午後2時〜8時くらいまでを、電話による「声の樹の塾」の日とします。メンバー(過去の参加者)で、質問、相談、お知らせ等のある人は、この時に、(090−5758−1939)まで電話をください。途中留守電になっている時は、お名前などを入れてあれば、後刻折返し電話をします。
メール(m.mita.vc@gmail.com)の方は、いつでもOKです。返信欄への音声入力が技術的に少し手数がかかるので、わたしの方からの返信、発信は原則しません。が、いつも楽しく読んでいます。応答の必要な件については、前項の電話の方で。
5. それでは、「5年+α」の間、よい人生と、よいお仕事を!!
わたしの方は、海鳴りの音と陽射しの感触と森のにおいにつつまれて、思考を深め断片を蓄積しながら、再会の時を待ちます。
PS. 昨年の樹の塾で話をしたことの骨子を要約して、少し展開したものを、「走れメロス 思想の方法論について」として、『現代思想』2016年9月号に掲載しました。ご関心のある方は、読んでみてください。(1ヶ所誤植アリ。末尾近く「降伏」とあるのは、「幸福」の漢字変換ミスです。)
●不具合等ありましたら、お手数ですがkinojuku2010@gmail.comまでご一報いただけますでしょうか.
その際には、可能でしたら、ご使用のブラウザおよびOSの種類とバージョンなどをお知らせください.
注1:「掲示板」という木の板のイメージが好きなのでHPのタイトルとしましたが、最近のネット用語でいう「掲示板」(BBS)ではありません。
注2:このHPは、OS:Windows7、ブラウザ:IronおよびFirefoxで作成・動作確認しています。